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学長メッセージ

新たな道

国際武道大学 学長 髙見 令英
国際武道大学
学長 髙見 令英

 国際武道大学では、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、厳しい入構制限を実施してきました。そのため、キャンパス内には学生の姿はなく、学生のいないキャンパスはこんなにも寂しい風景になるのだということを、我が身をもって経験したところです。
 この学長メッセージを執筆している本日は、5月25日です。緊急事態宣言が延長されていた1都1道3県も解除される事が決まりました。これにより、わが国における緊急事態宣言は全て解除されたわけですが、新型コロナウイルス感染症が終息したわけではありません。感染の可能性が少し低くなったに過ぎないのです。
 これから、大学運営も少しずつ本来の姿に戻していくことが求められます。しかし、私たちは、この感染症の治療薬や予防のためのワクチンを手にすることができない現状下で、大学を通常運営に戻していくためには、段階的手続きを検討したうえで、一歩一歩前進していかなければなりません。
 その際、私たちが共有しなければならない事があります。前述したように感染症の終息ではなく、感染可能性が低下した状況にすぎない中では、感染リスクがある状態で運営されていくということを、正しく理解していただかなければなりません。
 皆さんはよくご存知だと思いますが、行動する動物である私たちヒトは、行動することによるリスクを選択しながら、様々な活動を行っています。つまり、私たちは常日頃から、それほど強く意識をしてはいませんが、リスクを選択しながら生活しているわけです。
 しかし、新型コロナウイルス感染症のような特異な状況においては、私たちは自ずとリスクを強く意識するようになります。そのような状況下では、リスクをとりたくないがために、行動しないという選択が行われる可能性があります。緊急事態宣言下における緊急事態措置によって外出の自粛要請が発出されたのは、ヒトが行動することによるリスクを、行動そのものを制限することによって最小限にしようという措置であったわけです。私たちは、外出することで多くの人と接触し、感染拡大のリスクを高めるよりも、この要請を受け入れ、自らの行動を自粛し行動しないことで、現在確認されているように、感染リスクを低減させることを実現したわけです。
 しかし、リスクを最小限にするためにこのような行動が取られると、措置が解除された後であっても感染症のリスクがなくならない限り、行動を起こしたくないという考え方を選択する場合があります。これは、選択肢の中の一つとしてありうることです。しかし、行動しないことを選択することは、決してリスクをゼロにできるものではないことを理解しておく必要があります。行動を自粛すること、行動しないことを選択したことによる新たなリスクは、私たちがすでに経験したとおりです。つまり、それを選択したことによって、私たちは新たなリスクを選択しなければならないということになったわけです。
 総じて言えば、リスクは選択するものであり、ゼロにできるというものではないということを共有しながら、これからの生活や大学運営を行わなければならないということになります。

 学生・保護者・教職員の皆さん、これからは、新型コロナウイルスとの共存を念頭に置きながら、前述したような状況を受け入れて少しずつ大学本来の状態に近づけていくことになります。そのプロセスの途中の段階においては、新たな困難に遭遇する可能性もあります。しかしそのような不測の事態においても、私たちは英知を結集して前進していきたいと考えます。
 そして、現時点ではどれくらいの時間を要するかは予測不能ですが、有効な治療薬と予防薬としてのワクチンが開発され、世界中の人々に行きわたるようになり、現在私たちが共存しているインフルエンザウイルスのようになる日が、1日も早く訪れることを願いながら、日々の生活を送っていくことになるわけです。
 皆さん、この事態において蛮勇を振るう必要はありません。今置かれている状況をいかに客観的に受け止め、今何をすべきかを冷静に考えて進んでいきましょう。
 そして、現在、大学のある勝浦市から離れて、故郷の自宅でオンライン授業を受けている学生の皆さん、皆さんが置かれている状況は一人ひとり異なります。大学は少しずつ本来の姿に戻すための計画を立てていますが、皆さんは、それぞれが置かれている状況を多角的な視点で客観的に見つめ、今どのようにすべきかを冷静に考えて行動してください。それほど遠くない日に、普通に授業を受講し、仲間と共にクラブ活動に励むことのできる日が、必ずや戻ってきます。

 保護者の皆様におかれましては、勝浦市において一人で生活を続けながらオンライン授業を受けているお子様のことは、さぞかしご心配であろうかと存じます。
 大学は、お預かりしているお子様に寄り添いながら、少しずつ本来の姿に戻すための計画を着実に進めてまいります。どうかご安心くださいますようお願いいたします。

2020年5月27日
国際武道大学
学長 髙見 令英

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